オンデマンド特別企画
配信期間:2月23日(金・祝)~4月30日(火)
映画「むかしMattoの町があった」
監督:マルコ・トゥルコ 製作:クラウディア・モーリ
この作品は,イタリアが精神病院を廃絶するに至った精神保健改革の最初の20年を描いた映画である。イタリア語のmattoは狂気をもつ人。つまり「Mattoの町」は精神病院を意味する。イタリア国営放送RAIが作ったこの映画は3時間の大作で,2010年2月7日(日)と8 日(月)の夜に,1時間半ずつ2夜連続で放映され,21%以上もの高視聴率を得た。そして,ヨーロッパ各地で,南米のブラジルやアルゼンチンで,トルコで,イランで,自主上映運動が展開されてきた。
「Matto」について,イタリア改革の父バザーリアは,常々,こう語ったそうである。「狂気は一つの人間的条件だ。われわれの内には,理性が存在するのと同じように狂気も存在する。社会は,理性と同様に狂気も受け入れなければならないのだ」と。
イタリアにおける精神保健改革についてのみならず,狂気とは何か,人間性とは何かという本質的な問いをも投げかけるこの素晴らしい映画を,ぜひ多くの人にご覧いただければ幸いである。 [日本のMattoの町を考える会]
オンデマンド講演会
「精神病院の不条理シリーズ 精神病院と決別して43年!トリエステ脱“監獄”の今」 PartⅠ,PartⅡ
- <講師>
- ロベルト・メッツィーナ:
WHO精神保健国際協働ネットワーク代表,元トリエステ精神保健局長 - <通訳(英⇔日)>
- 早野ZITO真佐子:
医療福祉ジャーナリスト・翻訳家 - 宮本有紀:
東京大学大学院精神看護学分野 - <司会・コメンテーター>
- 大熊一夫:
日本のMattoの町を考える会代表、ジャーナリスト - 伊藤順一郎:
日本のMattoの町を考える会副代表、メンタルヘルス診療所しっぽふぁーれ院長
精神病院は前よりずっとよくなったと言う人もいるが,良い精神病院であろうが,悪い精神病院であろうが,人間の身体的,社会的,心理的自由を奪い,尊厳を傷つける,およそ治療とは程遠い代物であることに変わりはない。イタリアのトリエステは,精神病院はけっして治療装置たりえないことに気づき, 43年前に精神病院を全廃して地域精神保健サービスに切り替え,今に至る町である。このオンデマンド講演では,トリエステ元精神保健局長を迎えて,精神病院のないメンタルヘルスケアシステムは本当に可能なのか,どうしたらそれが可能なのかについて語っていただき,「精神病院は必要だ」という考えを根底から覆す。 [日本のMattoの町を考える会]
オンデマンド講演会
「児童虐待の問題解決に向けて必要なことと心理教育
~社会的養護につながらなかった児童虐待被害者に係る統計データ分析結果より~」
- <講師>
- 丘咲つぐみ:
一般社団法人Onara代表理事
児童虐待を受けている子どもたちのうち,98%以上は,児童養護施設などに辿り着かず,虐待の起こった家庭で過ごしている。果たして,家庭で生活を続けることが適切だったのかどうか・・・。一般社団法人Onaraでは,虐待を受けた子どもたちが子どもの頃および成人後に,どのような問題を抱えているのかを明らかにするため,日本で初めてとなる実態調査を行った。本オンデマンド配信では,その調査結果を紹介しながら,虐待被害者に必要な支援や心理教育がどう有効に働くのかなどについて論じる。